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June 23, 2009

太宰 治

生誕100年という事で、今年は太宰 治の小説が非常に売れているそうです。
しかも、購入層は若者が多いとか。

まあ、中高年の中には既に太宰を読んだ事があるという人も結構いるとは思いますが、一方で、「太宰は暗いから……」と敬遠する向きも少なくなく、逆に「本離れが進んでいる」と称される若者の方が抵抗感なく彼の作品を受け容れられるという事でしょうか。

何れにせよ、今の若者は無関心とか食わず嫌いが多いとかよく言われていますが、特に若者の間で熱心に太宰作品が読まれているのは決してそうではないという事を示しており、嬉しい限りです。

太宰作品の人気の秘密、それは時に「マイナス思考」とバッサリ切り捨てる人もいますが、彼の内面の葛藤が赤裸々に綴られているという点に尽きるでしょう。
衣服や髪型は時代に応じて変遷しても、肉体や人間の本質はそう簡単に変わるものではありません。
芸術や娯楽の中には時代に合わせるあまり、衣服や髪型を整える事ばかり考えて、結果的に歴史から消えていった作品もありますが、後世に残る作品というのは、どの時代に成っても変わらない人間の本質・普遍を示しているから、それが多くの人々の共感を得て、今に語り継がれているのだと思います。

そして、人間が変わったと言われる今の世ですが、若者の間で太宰が共感を得ているという事は、人間という生き物の本質はあまり変わっていないという事を如実に示していると思います。

今、世界中を襲っている深刻な不況は、多くの失業者や自殺者を出し、生きるという事と真剣に向き合おうという人々が増えています。

こんな時だからこそ、苦しみもがきながらも一筋の光明を見出して前に進もうとする太宰作品が多くの人々の共感を得ているのでしょう。

今回の太宰人気が一時的なブームに終わったとしても、やがてその中から新たなムーブメントを起こす人々が出現して、今後も彼の作品は語り継がれていく事でしょう。
人間という生き物の本質が変わらない限り。

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